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● 図形で測る音程関係!
それぞれ 異なった響きのハーモニィーとなります!
それは、ピアノは「平均律」、バイオリンは「純正律」、三味線は「邦楽的純正律」
それぞれの楽器で、調律の基準となる音程関係(楽律)が異なっているためです。
※ 「平均律」は、1オクターブを12等分した音程で構成される楽律。
ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器、木琴やビブラフォンなどの打楽器、
主に、演奏中 音程を変えられない楽器に用いられています。
※ 「純正律」は、音程を簡単な整数比に保ち、和音が完全に融合するようにした楽律。
バイオリンや三味線、トランペットや尺八など、楽器全般に用いますが、
音程の幅は、演奏の技量及び感性(音色の好み)によって 大きく左右されます。
● 「平均律」と「純正律」の比較
※ 音程関係を、「足し算」や「引き算」で測れる単位 セント(cent)にすると、
図形の長さで 比較表示することができます。。
●平均律のセント換算⇒1オクターブ(完全8度)=1200c 、短2度=100c 、長2度=200c 、短3度=300c、長3度=400c 、
完全4度=500c 、増4度(減5度)=600c、完全5度=700c、短6度=800c、長6度=900c、短7度=1000c、長7度=1100c
● 純正律(振動数比 F1:F2) のセントの換算式は ⇒ C=(1200/log2)×log(F2/F1)
純正律の長3度(ド:ミ)=約386.3c、純正律の短3度(ミ:ソ)=約315.6c、純正律の完全5度(ド:ソ)=約702.0c
※平均律と純正律を比べると⇒ 長3度(ド:ミ): 400C(平均律)-約386.3c(純正律)=約13.7c(平均律が広い)
短3度(ミ:ソ): 300c(平均律)-約315.6c(純正律)=約-15.6c(平均律が狭い)
完全5度(ド:ソ): 700c(平均律)-約702.0c(純正律)=約-2.0c(平均律が狭い)
つまり、ピアノ(平均律)の長三和音は、「ミ」の音が約13.7セント高すぎて、濁ったハーモニィーになります。
バイオリンの長三和音では、演奏技術さえ正しければ、振動数比が「3:4:5」となる美しいハーモニィーです。
三味線では、バイオリンと同様に美しい響きを出せるのですが、習慣上 長三和音を用いない為に、
邦楽的な長3度「7:9」と短3度「6:7」を組合せて、振動数比「14:18:21」の三和音になります。
● 「純正律」の長音階
図から明らかなように、ピアノやオルガンなどの平均律楽器では、オクターブを除いて
完全に融合する「純正律」の音階は演奏できないことになります。
完全5度と完全4度は 約±2セントの誤差となり、実用上無視できる範囲ですが、
長3度は約13.7セント、短3度は約-15.6セントとなって濁った響きになります。
かつて、ベートーベンが ”ピアノ曲が書けない…” と悩んだ 問題の響きですが、
現代においては、多少の濁った響きは我慢して、いつ何処にでも移調・転調できる
平均律楽器の機能性が重宝されています。
しかしながら、濁った響きを 許容できない音楽の種類もあるのです。
例えば、「長音階」の基になった グレゴリオ聖歌では、振動数比が「6:7」の短3度、
「4:7」の自然7度 の音程がきわめて重要です。
平均律楽器で 「越天楽」を弾いてみると、「雅楽」とは 全く異なる音楽が演奏されることになります。
一般に親しまれる音楽の内でも、短調を基にする楽曲、民謡・邦楽などの楽曲は、
平均律では 解決のできない音程関係で構成されているのです。
これらの音楽は、純正律の楽器、できれば民族楽器を用いると
より一層 心に染み入る 豊かな演奏ができるのではないでしょうか!?
筝は、細長い桐の共鳴胴に 13本の弦を張り、各々一個ずつ柱(じ)を立て弦を支え、
その張力や 支える位置を調節することにより、さまざまな音階に調弦できる 撥弦楽器です。
筝の基本的な調弦 「平調子」を覚えると、邦楽音階が身に付いて、音楽をする喜びが 一層拡がります。
● 最初に、音階の主音(例えば:平調 E、ミ)を定め、「一」と「五」を 同音に合わせます。
次に、「五」を基準にして 完全5度下に「二」、完全5度上に「八」、オクターブ上に「十」を合わせます。
次に、「二」を基準にして オクターブ上に「七」、「七」を基準にして オクターブ上に「為」を合わせます。
次に、「八」を基準にして オクターブ下に「三」、オクターブ上に「巾」を合わせれば、
音階の骨組み 「二(ラ)・三(シ)・一五(ミ)・七(ラ)・八(シ)・十(ミ)・為(ラ)・巾(シ)」 ができます。
● 次は、音階の表情を定める 最も大切な音、「四」の調弦をします。
一般的には、「三」を基準にして 半音上で 平均律よりやや低い音程?(図@又はAの邦楽的半音)
感性に任されて ”好い加減”、少し間違って ”イイカゲン”に調弦されることもあります。
間違いの少ない調弦法は、「二」と「五」の完全5度の音程に 短3度「四」を加えて、
純正律の短3和音 「二(ラ)・四(ド)・五(ミ)」(振動数比 6:7:9)を造ることです。
濁りのない短3和音は、平均律の「ド」に比べて 約37セントも低い高さになるのです。
※この「四」の音程は、演奏曲目によって、微妙に調節されることになります。
例えば:調和を重んじれば @邦楽的半音(63.0c)、旋律が優先されれば
A邦楽的半音(84.5c)、洋楽的な楽曲は B洋楽的半音(111.7c)になります。
● 「四(ド)」の音程さえ定めてしまえば、後の調弦は簡単です。
「四」を基準にして 完全4度上に「六」、「六」を基準にして完全5度上に「九」、
「九」を基準にして 完全4度上に「斗」、これで平調子「純正律の調弦」が完成いたしました。
※なお、「オ四」・「オ六」・「オ九」・「オ斗」の音は、楽曲の演奏中に
必要に応じて、筝柱が支えた弦の左側を 左手で押すことにより発音します。
強く押すほど 高くなりますが、思い通りの「音程」が出せるまでには修練が必要です。
筝の調弦に 初めて挑んでみると、六尺もの巨大な胴に張られた弦は、
想像を超える張力で 筝柱を立てることさえ拒絶するように思えます。
それぞれの13本の弦に、一つ一つ 「正しい音程」となる筝柱の位置を探し求め、
汗水を垂らして 筝と格闘する姿は、到底 音楽活動をする様には見えないことでしょう。
しかしながら、懸命に調弦をする人には、幾度となく素晴らしい感動が訪れているのです。
筝柱の位置が「正しい音程」を見つける度に、いわゆる ”壺にはまる” と
筝の胴体は、素晴らしい音色で ”ぐわ〜ん” と答えてくれているのです。
まさに、調弦が完成した時の感動は、名曲を演奏し終えたときに匹敵するものです。
これは、筝の調弦を 実際に体験しなければ、分らないことかも知れません。
皆様も、騙されたと思って、是非とも 筝の調弦に挑戦してみてください!
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日本コンダクター販売株式会社 NIHON CONDUCTOR CORP.
更新日 2011年07月03日 (日) 11:44