A音楽の表情(調性)を創る「旋律型」  「一音成仏」は、尺八修練に係わる有名な格言です。 音楽的にも、「一音の内に、含まれる要素」を考察すると、尺八上達の秘訣になることが判ります。  例えば、乙「ロ」の一音についても、豊かな倍音の作用によって、広がりを持つ「和音」や安定を感じさせる「音階の骨組み」の音色を出すことができます。 ”息速く強く吹いて ”※右図 1−2−4−5倍音を特に大きく、長3度(ド−ミ)の和音と呂旋音階を感じさせることもできます。 一方、”息ゆるやかに太く吹いて ”※右下図 倍音が無い純音のように、一点に収束していく音色も出すことができます。  さらに大切なのは、「一音の高低(音程)の変化が、人の感情の変化に連動する」ことを理解するべきです。 これを、音楽的にまとめたものが「旋律型」なのです。 ●基本的な「旋律型」は、意識の中心となる【宮】を、 高く変化する【商】と低く変化する【羽】で挟む 三音の音程関係から成り立ちます。 ●以下の「旋律型」と、 右の「音階の骨組み」の組合わせで、邦楽のほとんど全てが表現できます。 ●【宮】の位置に、尺八の運手(ロ・ツ・レ・チ・ハ) それぞれを当てはめ、【宮】に始まり、【商】及び【羽】を経由して、【宮】に終わる組合わせを練習してください。 ●「旋律型」の練習で大切なのは、旋律の中心が【宮】にあるのを、自覚できる演奏をすることです。 ご自身の感性を信じてください。そうすれば、”ロ吹き”や”平均律”に拘る必要も無くなります。 仕上げの練習は、「音階の骨組み」の位置に【宮】を当てはめて、音階の演奏練習もしてください。